20年近く音楽活動をしてきた中で、「歌は心の力」になるんだと、初めて強く実感した時がある。
それは10年前の阪神大震災の時だった。
大震災から1ケ月経った頃、西宮の高木地区へ歌のボランティアに行った。避難所だった小学校の体育館には、まだたくさんの方々がいらした。
その校庭で歌うボランティアである。
どういう気持ちでボランティアに望めばいいか、ずっと考えていたが、結局、確信が持てる答えは出ないながら、とにかく元気になってほしいという気持ちを大切に、心を込めて歌わせていただこうと思った。
曲は「上を向いて歩こう」で、校庭で聞いてくださっているお一人お一人の顔を見たり、そばに寄り添いながら歌った。
終わって控え室にいると一人の女性が入ってきた。彼女が言うには、
「大震災以来ずっと寝たきりの父が、起き上がってきました。ありがとうございました」
ということだった。
私はその言葉に感動し、嬉しかった。
その後改めて思った。
歌には、心と身体を立ち上がらせてくれる力があるんだと。
その頃から、私の歌に対する姿勢も変わっていった。
歌が上手い、下手という観点より、心から出てくる思いや意図を持つ事が大切だということに、気がついたからだ。
そして今。
歌はこうして、私自身や人を癒し、力を与えてくれるものだと実感しながら、音楽活動を続けている。
(「∞みっけのわ∞ ハートの7つ道具」へ寄稿)
